
※2026年6月16日掲載
岡山県赤磐市に移住した西村さん。
15年間勤めた鉄道会社を退職後、家族で日本一周の旅に踏み出した。各地で多くの人と出会い、そのつながりをきっかけに、赤磐市への移住を決めたという。
現在は、空き家バンクを通じて出会った明治元年築の古民家を住まいとし、改修を進めながら田舎暮らしを続けている。移住に至るまでの経緯や、古民家での暮らしについて話を伺った。

西村さんは約15年間、鉄道会社に勤め、和歌山県で家族とともに安定した生活を送っていた。しかし仕事を続ける中で、次第に自身の将来について考えるようになり、「このままでよいのだろうか」という思いを抱くようになったという。
夫婦で相談して、弟のいる千葉県への移住も検討したが、タイミングが合わず最終的に断念することになった。一方で、退職の準備や自宅の売却はすでに進んでいた。
そんな中で思い出したのが、以前から家族で話していた「いつか日本一周をしてみたい」という言葉だった。上の子が小学校入学前の5歳だったこともあり、「子どもと旅をするなら今しかない」と決意し、日本一周の旅へ踏み出した。
各地を巡る中で、暮らし方や人との距離感に触れ、自分たちに合った生き方を探していった。旅の途中で立ち寄ったコミュニティを通じて人とのつながりが生まれ、紹介や縁を重ねる中で赤磐市と出会う。人との関係性を通じて「ここで暮らしてみたい」と感じたことが、移住の決め手となった。
移住するなら古民家に住みたいと家族で話し合い、空き家バンクを利用しながら住まい探しを行った。条件を細かく絞り込むのではなく、予算感や立地、最低限の生活インフラが整っているかなどを踏まえながら、「この場所で暮らしていけるかどうか」を選ぶ基準にする中で出会ったのが、現在の住まいとなる築160年・明治元年築の古民家だった。
一方で、地域の人たちと馴染めるかどうかの不安もあった。そこで、移住前には何度も現地を訪れ、物件周辺を散歩しながら近隣の住民に声をかけ、話をするようにした。自分たちがこの地域で受け入れてもらえそうかを確かめるためだったという。
地域の人と接する中で、日常の様子や人との距離感が少しずつ見えてきた。住民が温かく迎えてくれたことで、「ここなら暮らしていけそうだ」と感じるようになり、赤磐市での暮らしに向けた一歩を踏み出すことになった。
移住に伴い古民家に住まいを移し、赤磐市の空き家改修補助金を活用しながら、DIYで少しずつ手を入れてきた。明治元年築と、歴史ある住まいと向き合い、手をかけながら暮らす日々が続いている。
例えば、敷地内に残っていた井戸も自分たちで手を入れ、再び使えるようにした。手動ポンプを購入し、電動ポンプは地域の人から譲り受け、試行錯誤の末に水が出たときは家族で喜んだという。こうした設備を直しながら使うことも、今では暮らしの一部になっている。
また、移住をきっかけに農業にも取り組み始めた。農業経験はなかったが、地域の人に教わりながら畑に通い、現在は家庭で食べる分の野菜を中心に育てている。作物ごとに土づくりや植え付けの時期が異なるなど、分からないことも多い中、周囲に相談しながら少しずつ取り組んできた。地域とのつながりをきっかけに田んぼを借り、米づくりにも挑戦している。すべてを自分たちでまかなっているわけではないが、野菜や米を中心に、できる範囲で自給自足の暮らしを続けている。
移住後、地域の人との関わりは少しずつ日常の中に増えていった。近隣の住民とは交流を重ねるうちに、困ったときに声を掛け合える関係になり、今ではDIYの仕事を頼まれることもあるという。移住前から周辺を歩き、住民と話す機会を持っていたこともあり、移住後は自然と地域に馴染んでいった。
暮らしのリズムも大きく変わった。移住する前は仕事が一日の中心だったが、移住後は暮らしや家族の時間を軸に予定を組み立てるようになった。何を優先するかを自分たちで決められるようになったことが、移住して良かった点の一つだという。
子育ての面でも変化を感じている。庭にジャングルジムをDIYで作るなど、外で体を動かして過ごす時間が増えた。特別な場所に出かけなくても、身近な環境の中で遊びや学びが生まれている。地域と関わりながら暮らす姿を子どもたちが日常的に目にすること自体が、良い学びにつながっていると感じている。
現在の古民家の改修が落ち着いた後には、あらためて空き家を購入し、カフェやゲストハウスのような憩いの場をつくりたいと考えていると語る。
移住を考えるときは、場所や条件だけで判断するのではなく、「地域の人との関わりや空気感」を大切にしてほしいと思っています。私自身も、景色の良さや利便性を軸に移住先を探していたわけではなく、人とのつながりをきっかけに赤磐市と出会いました。
農業やDIY、田舎暮らしなど、自分が関心を持っていることに実際に取り組んでいる人が身近にいる地域では、移住後の暮らしを具体的にイメージしやすく、不安も和らぎました。
住まいを決める前には、できるだけ現地を訪れ、物件の内見だけでなく周辺を歩いたり、地元の方と話をしたりすることを大切にしてきました。短時間の下見では分かりにくい町内会の仕組みや季節ごとの行事についても、長く住んでいる方の話を聞くことで、日常の様子を具体的に知ることができました。こうした事前の関わりが、移住後のギャップを小さくしてくれたと思います。
移住後は、自分から地域に関わり、「教えてください」「助けてください」と素直に声をかける姿勢を意識してきました。そうした日々の積み重ねが、今の暮らしにつながっていると感じています。
古民家のDIYや日々の暮らしの様子は、私のYouTubeチャンネル「Tom 明治元年の古民家暮らし」やInstagramで発信しています。田舎暮らしに興味のある方には、ぜひ参考にしてみてもらえたら嬉しいです。

赤磐市は岡山県南東部に位置し、温暖な気候のもと、果樹栽培が盛んなまちです。
岡山市に隣接し、市中心部からは車で約30分。通勤・通学にも対応できる距離感にあります。市内には高速道路のインターチェンジがあり、大阪・広島へはいずれも約2時間と、県内外への移動のしやすさも特徴の一つです。
日常の買い物は市内で完結できる一方、少し足を伸ばすと田園風景が広がります。都会と自然のバランスが取れた環境から、赤磐市は「ちょうどいい田舎」として注目されています。岡山市周辺エリアの中でも土地を取得しやすい地域とされており、住宅地の平均地価は周辺市町の中でも低水準です。持ち家世帯率は、岡山県内の市で第3位となっています。
市域は活断層がなく、地盤の固い吉備高原の丘陵地に広がっています。地震が少ないとされ、年間を通じて温暖で、冬の積雪もほとんどありません。
また、白桃の発祥の地としても知られ、桃やぶどうなどの果樹栽培が盛んな点も赤磐市の特徴です。市内5か所の直売所では、新鮮な農産物を日常的に手に入れることができます。
赤磐市では、市内の空き家情報バンクなどを通じて物件を購入または賃貸し、改修を行う場合に、改修費用の一部を補助しています。県外からの移住者に加え、令和8年度からは県内からの移住者も補助が受けられるようになりました。空き家の活用を後押しし、住まいの選択肢を広げるための取り組みです。
子育て支援にも力を入れており、高校生までの子ども医療費は全額助成され、小・中学校の児童・生徒、保育園等の3~5歳児クラスに在籍する第3子以降の給食費も無償としています。さらに、高校生等の通学費を年額6千円から10万円まで補助するなど、子育て世帯の生活負担軽減に取り組んでいます(令和8年6月時点)。
新婚世帯に対しては、賃貸物件の家賃補助(月額1万円・最大12か月)のほか、住宅取得やリフォーム、賃貸、引っ越し費用などへの補助を実施しています。補助額は上限30万円、29歳以下の世帯は上限60万円です。さらに、市分譲住宅地を購入した場合には、定住促進奨励金として20万円が支給されます。 移住に関する情報は、赤磐市移住・定住ポータルサイトで発信しています。
「あかいわの声」では、実際に赤磐市へ移住した人のインタビュー記事を掲載しており、移住前後のリアルな体験を知ることができます。このほか、赤磐市公式LINEでは移住イベントや暮らしに役立つ情報を随時配信しています。移住・定住ポータルサイト公認のInstagram「赤磐市のいいとこ」では、市民ライターが住民目線で、まちの日常や行事の様子を紹介しており、赤磐市の雰囲気を感じることができます。
赤磐市は、田舎すぎず都会すぎない、自然環境と生活利便性のバランスが取れたまちです。ほどよい自然に囲まれながら、無理なく新しい暮らしを始めやすい環境が整っています。
電話やメール、オンラインによる移住相談にも対応しており、移住の検討を始めた段階から気軽に相談できる体制を整えています。ごみの出し方や地域の清掃活動など、暮らすにあたって気になる疑問にもお答えします。
市内案内の際には、移住コンシェルジュが一人ひとりの暮らしのイメージに合わせて、市内を車で案内するなど、きめ細かなサポートを実施していますので、ぜひお気軽にご予約ください。

赤磐市で、空き家の売買仲介を中心に、移住を検討されている方の住まい探しをお手伝いしています。私自身も神戸市から赤磐市へ移住した一人で、物件の条件だけでなく、「その先の暮らし」を一緒に考えることを大切にしています。
赤磐市には、市街地のように利便性の高いエリアと、自然に囲まれた里山エリアの両方があります。移住される方が、ご自身のライフスタイルに合わせて住む場所を選べるのは、この地域の大きな特徴だと感じています。
一方で、自然の中での暮らしに憧れを持って来られる方は多いのですが、実際の生活をどこまで具体的に想像できているかについて、思い描かれている理想と実際の暮らしのイメージにギャップを感じることがあります。物件をご案内する際に私が特に大切にしているのは、「その暮らしを本当に続けられるか」という視点です。
例えば山間部の物件では、日常的な草刈りや薪の準備、坂道や階段の上り下りなど、身体的な負担が出てくる場面もあります。こうした点を十分に理解しないまま、イメージだけで物件を選んでしまうと、移住後にギャップを感じてしまうことも少なくありません。
そのため、内見の前に「どのような暮らしをしたいのか」「どこまでの不便さなら受け入れられるのか」といった点を丁寧にお伺いしています。下水道の有無や買い物環境、車での移動距離、自然との距離感など、生活の細かな部分まで一緒に整理しながら、具体的にイメージしていただくよう心がけています。そうしたすり合わせが、後悔のない住まい選びにつながると考えています。
また、移住後に地域に馴染んでいくためには、住まい選びだけでなく、地域との関わり方もとても重要です。私自身の移住経験や、地域の方々との日々のやり取りを生かしながら、空き家の活用や移住を検討されている方の相談に向き合っています。
赤磐市での暮らしや住まいについて、少しでも気になることがあれば、まずは気軽に相談してもらえたらと思います。










